硫黄島からの手紙「父親たちの星条旗」・「硫黄島からの手紙」両作品に共通しているのは、「戦争はしてはいけない」という古典的で当たり前のことです。ただ、この映画が今までの古典的な映画と違うのは、日米双方の視点から描かれていることです。これにより、お互いの陣営がどんな気持ちで戦っていたのかが分かるようになっているところが斬新です。
という訳で見てきました。二部作目。今度は日本サイドの話です。
一部目は10月の終わりに見ました↓

http://www.onthewind.jp/2006/10/seizyouki.html

正直、一部目「父親たちの星条旗」は、あまり面白くなかったのですが、日本サイドの本作は面白かったです。面白かったと一言で片付けてはいけないと思うのですが、アメリカ映画として、よくここまでしっかりと日本の視点で作れたものだなと驚きました。台詞は98%日本語だし、心理描写も実に日本人をよく観察していると思いました。イーストウッド監督は本当に凄いと思いました。
アメリカ兵が、捕虜になった日本人を銃殺するシーンがとても印象に残りました。このシーンこそ、アメリカ人がこの戦いを美化しているだけではないということを物語っていたのではないかと思います。アメリカ人も自国の兵士が勇敢に戦う姿には感動するでしょうが、無抵抗の捕虜を殺害するシーンは気持ちよいとは思えないはずです。
「硫黄島からの手紙」が面白かったことで、「父親達の星条旗」に対して何故、戦争映画としては、やや中途半端な印象を受けたのかが、初めて分かった気がします。戦勝国のアメリカにしてみると、普通に戦争映画を作ろうと思うとこの硫黄島の戦いは、「悲惨な状況下で何とか勝利を勝ち取りました。」というような自分たちの勝利を美化する映画しか作れないのです。もちろん今まで作られてきた多くの戦争映画はそういう作りになっていましたので、見る人は見るし、納得する人も多いでしょう。でもそれでは、今までの戦争映画と全く同じことになってしまう。そこで監督は、この戦い、そして星条旗には、美化できない歴史があった。という部分にフォーカスをあて、戦争のむなしさを表現したのではないかと思います。通常の戦争映画を期待したので、この点はやや期待を裏切られたと言わざるを得ませんでしたが、監督が通常の戦争映画を作ったつもりはないのだとしたら、私の見方がこの映画にあっていなかったということになります。
「硫黄島の手紙」の方は、敗戦国から見た戦闘の記録で、私が一部目に期待して裏切られた部分をカバーする一般的な戦争映画だったと思います。戦争の激しさという意味では『プライベートライアン』のノルマンディー上陸作戦の映像を超えているといっても過言ではないように思えます。出演している俳優陣も非常によかったです。渡辺謙、二宮和也、伊原剛志らが非常によかった。演技だけでなく、やや非国民的で、戦争に矛盾を感じているというキャラクター設定に非常に共感を持ちました。このあたり、今の若者が見ても共感できるようにうまく作られているなと感じました。
そんな訳で、戦争映画好きな私としては大変楽しめる映画でした。
★★★★☆(傑作)

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