1Q84をようやく読み終えました…。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 3

最後に村上春樹の長編小説を読んだのは、「海辺のカフカ」だった気がするので、およそ7年振りです。長編・短編問わず、村上春樹が執筆した作品は殆ど読んでしまっていたこともあり、1Q84が発売された当初は、「もったいなくて読めない」という心理状態でした。まだ読んでいない長編があるという状態はある種とても幸福な状態で、読み終えてしまうことでその幸福状態(というか明日への希望というか)が維持できなくなることに恐怖すら感じていました。でも今年になりBOOK3が出たというので、もうこれは一気に読んでしまおう。と覚悟を決めました。

ここからは読書後の感想故、ネタバレを含みますのでご注意を。

■村上春樹の作品と過ごす日常

非常に濃密な時間でした。

物語の進む先は常に気になるけど、少しずつ終わりに近づいてしまうことへの抵抗もある。結局そのせめぎあいで一日に読めたのは1〜2章ずつでした。朝電車を待つ15分。会社のランチのあとのコーヒーと一緒に20分。帰りの電車で30分。日常の中のちょっとした空き時間を使って読みました。(読書中のBGMは主にRei HarakamiとEpic45、それからUnderworld)

最初は常識では考えられないことが起こる話に違和感を感じましたが、読み進めていくうちにそれは「当たり前のもの」になっていました。二人の主人公が二つの月を受け入れたように、そこで何が起こっても驚いたり、虐げたりせずに自然と自分の中に落とせるようになっていきました。(1Q84の世界に入り込んでいったということ)

■複数の視点で物語がどんどん立体的になっていったこと

二人の主人公それぞれの視点から描かれたことで話が非常にゆっくりとしたテンポで進んだ気がしますが、そのぶん物語の濃度はものすごく濃く、立体的になっていました。

この傾向はBOOK3で3人目の主人公(?)が登場したことで加速しました。天吾や青豆と同じように牛河もまだ非常に魅力的なキャラクターであったと思います。語られなかった部分のぼかし方や、登場のタイミングの良さが何ともいえず心地よかったし、やはり彼も月が二つであることに気付きそして失われていくという展開も非常に合理的で納得感がありました。

■性描写がいつになく過激で多かったこと

そして今回は性描写が非常に多かった。内容もこれまでの村上春樹作品の中では際立って過激だった気がします。でも今回の性描写の多用は、1Q84の世界を成立さえる上で、必要な大事なパーツだったのではないかと思います。BOOK2を読み終えた時点では気づきませんでしたが、最後まで読み終えてみると、これは天吾とふかえりの間で起こった「特別な性交」の意味をカモフラージュするためだったのかもしれません。

話の展開からして、天吾とふかえりはどこかで性的な関係をもつだろうなと思わせておき、本当にそうなって。ほらやっぱりなと。思う。でもほらやっぱりなという以上のことはこの段階では考えられなかったので、意図があったかはわかりませんがまんまとしてやられました。

■完結したのか。続くのか。残された謎と個人的な希望

個人的にこの物語はBOOK3で完結したと思ってます。その後の展開が気になるものの、ものすごく綺麗な終わり方だったと思います。ただ、もしかするとこの先続編(もしくは前編)がありえないこともないのかなとは思います。広げようと思えば、まだ回収されていないいくつかの謎も残っています。

例えば、

・結局二人はどこにたどり着いたのか?
「タイガーをあなたの車に」の虎が反転している世界というのはどこなのか。
そこにリトルピープルは介在しているのか。

・青豆の子供が何者なのか。「声をきくもの」なのか。

・「さきがけ」は「声をきくもの」がいなくなり、教団は消滅するのか。

・天吾の書いた「月が二つある世界」とはどんな話なのか

・BOOK1が4月から始まっていることを考えると、1月〜3月というBOOK0が存在しうるのではないか。

などなど。天吾の書いた小説の中身がまったく違う別のストーリーとして展開されたりすると面白そうです。月が二つあるシリーズみたいな…。

またBOOK0が天吾と青豆以外の登場人物を一人称として出てきたら面白そうだなというのもあります。天吾の父親、麻布の老婦人、タマルなどなど1Q84の渦にどのようにまきこまれていくかはとても面白そうです。

■世界に入り込めるかがすべて

ずいぶん前に読んだ、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」。これも不思議な世界の話でしたが、この作品にはとうとう最後まで入ることができませんでした。どんなにその情景を文章から映像化しようとしてもまったくできなかった。でも世間の評価は非常に高い。(つまり私に対してはこの世界に入るための扉がなかったのかもしれない。)

同じように、1Q84も入れない人はとことん入れないタイプの作品だったのかもしれません。

個人的にはこの作品は傑作だったと思っています。不確定要素が多数散在するなかで、その世界は非常に逼迫していてとてもとても魅力的でした。

★★★★★(最高傑作)

1Q84 BOOK 1
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村上 春樹
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おすすめ度の平均: 3.5

2 ハードカバーで読むほどではない
2 おもしろうて、やがてかなしき・・・
1 リタイアしてしまいました・・・
3 何度も読むべき作品なのか?
5 村上作品は、不思議だ。

1Q84 BOOK 2
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5 ビッグブラザーとリトルピープル
4 何処に向かっているのだろう
4 すさまじく不吉で不気味
2 エンターテイメント小説とでもいうのだろうか
4 うわぁ、ワールドさく裂でどんどんハマっていっちゃうぅぅ★村上ワールド好きならね。ミーハーさんにはどうかしら?

1Q84 BOOK 3
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おすすめ度の平均: 4.0

3 book4につづいても不思議じゃないけど
4 『1984』を読むと
3 準<引きこもり>の書いた<セカイ>系の物語
5 純愛ファンタジー
3 1?84

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